「ふつうってなんだろう?」 ─ 見方をかえて、ちがいを価値に変えるプロジェクト
「ひだりパグ」と共に問い直す「ふつう」とは
作業療法士でありクリエイター、そして3児のパパでもある伊藤竜司さんは、18年以上にわたり医療・福祉の現場で「できないこと」や「弱み」と向き合ってこられました。その経験から、弱みを「なおす」のではなく、見方を変えて「強み」として捉える考え方にたどり着かれました。この想いを医療福祉の枠にとどめず、子育てや教育、ビジネス、社会全体へと広げたいと考え、2024年12月に『Re Design(リデザイン)』という事業を立ち上げられました。共創アートキャラクター「ひだりパグ」は、左側が塗られていない独特のデザインで、「ふつうって、なんだろう?」という問いを投げかけています。
社会の見方を変える新しい支援の形
伊藤さんが作業療法士として出会ったAさんは、くも膜下出血の後遺症で左側が見えているのに気づきにくい「半側空間無視」という障害を抱えていました。食事の際にお盆の左半分が残ったり、歩くときに左側の人や物にぶつかってしまう様子を見て、伊藤さんは「個人のリハビリには限界があり、社会そのものをリハビリする必要がある」と考えられました。社会の「ふつう」に人を当てはめるのではなく、その人に合わせて環境や見方を変えていくことが、本当に必要な支援だと気づかれたのです。こうした視点から生まれた「ひだりパグ」は、医学的には「できない」とされる特徴を、アートやデザインの世界では「個性」や「味」として捉え直す挑戦でもあります。
自分らしさを大切にする社会を目指して
伊藤さんは「自分らしく生きること」を大切にされており、人生に正解はないと考えられています。失敗や苦手なことがあってもいい、無理にできるようにならなくてもいい。見方を変えた瞬間に「できない」が「価値」に変わることがあると感じておられます。弱みも強みもどちらも自分の一部であり、その前提で誰もが自分らしく生きられる社会をつくりたいという想いがRe Designの原点です。現在は「ひだりパグ」を教材にした教育プログラムや企業研修の開発も進められており、多様な人々と共創しながら、社会の見方そのものをアップデートする取り組みが広がっています。詳しくは、プロジェクトページをご確認ください。